病気を見つけるプロ 「細胞検査士」からの メッセージ 小林彩香さん
「細胞検査士」は、検診などで採取された細胞を顕微鏡で目視し、「がん細胞」の有無を調べる医療専門職です。日本全国に約7500名いる細胞検査士は、がん診断のための重要な役を担っており、医療現場には欠かせない存在です。そのため「がん細胞の番人」とも呼ばれています。
子宮頸がんを見つけるためだけでも、年間約450万件もの検体があります。がんを早期発見し、患者さんを1日でも早く病気から守るために力を発揮している仕事が、細胞検査士なのです。
詳しくは…細胞検査士会で検索を!
インタビュー 1
小林彩香さん:こばやし・あやか/臨床検査技師、細胞検査士。森ノ宮医療大学 医療技術学部
臨床検査学科准教授。細胞検査士の育成と教育に携わり、子宮頸がん検診を含
む細胞診検査に関する研究を行う。
「がんの早期発見」へ ━未来に必要な、細胞検査士のちから
私は大学教員として、細胞検査士を目指す学生さんたちを指導したり、初学者の教育のために、細胞診の方法と技術に関する研究を行ったりしています。細胞検査士は、「縁の下の力」です。がんを見つけて、患者さんの日常を守るための「最初のゲート」として存在していますから、責任も重大です。
近年はAIを活用した細胞診に関する研究も進んでいるため、これからの細胞検査士は、機械を使った診断についての知識を身につけると同時に、AIではまかなえない技術を伸ばすことも重要だと感じています。たとえば患者さんのすぐ横で標本を作る「ベッドサイド細胞診」や、チーム医療の場で細胞診断の結果について説明する力、良い標本を作る技術など、細
胞検査士自身の腕や経験が重要なシーンも多いのです。
今は少子化時代に突入して、細胞検査士もこの先減っていくと思います。しかし細胞診のオーダー自体は、がんや感染症を発見するために増加しています。細胞検査士の力がまだまだ必要です。だからこそ、細胞検査士の現場が疲弊せず、正しく診断を行える環境作りが大事だと思っています。そのために自分の研究が活用されて、細胞検査士の育成につながったり、現場で働きやすくなったり、そんな未来を望んでいます。
ちなみに私自身、若い時には子宮頸がん検診についておろそかにしている部分がありました。医療職のため、リスクについてはもちろん知っていました。しかし「若いから大丈夫だろう」「少し面倒だな」という意識もあったんです
ね。でも細胞検査士の資格をとってから、あらためて患者さんの気持ちを知りたいと感じたこともあり、初めて子宮がん検診に行ってみたんです。1回行ってしまえば、「なるほど、こんなものか」と思って、検診がとても身近に感じましたね。歯医者さんに近い気分で、定期的に行こうと思えました。
全国の細胞検査士の活躍が、がんの早期発見につながり、ゆくゆくは今の研究を社会に還元できたらいいな……と感じています。