子宮頸がん検診を後押しする保険が誕生
先日、「がん検診受診で給付金 明治安田が業界初の保険投入へ」(産経新聞)というニュースを目にした。しかも、子宮頸がん・乳がん検診を受診すると給付金が受け取れるという話だ。
弊会では子宮頸がん検診を受けることで確実に予防が出来る子宮頸がんは「子宮頸がん検診を受けることにより保険料が安くなる」など、いくつかの保険会社に提案をしてきたが、保険業界的にはインパクトが無いと言う理由で私たちが思っていたほど以上に反応が悪かった。
ただ、子宮頸がん検診受診率が他の先進国に比べ段違いに低い現状を考えると、検診を受けることに何らかのインセンティブ(動機付け)は必要だと常日頃考えていたところで、このニュースだ。早速、明治安田生命保険相互会社に話を伺いに行った。
この商品を開発した島田温子氏が対応してくれた。
Q:この商品の開発経緯は?
A:私が5年前に就任したときに社内で女性のために何か出来ないか?という話になり、女性を取り巻く社会環境の変化や女性ならではのがんが増えている点に着目しました。
当社が「みんなの健活プロジェクト」を推進している一環で、がんになってもならなくても、がん検診を受診することで給付が出る仕組みがあれば、がん検診を推進でき、お客さまの健康を後押し出来るのでは?と考え企画にいたりました。
Q:商品開発で苦労した点は?
A:生命保険商品は「保険」である以上、法律上の制限があるため、「がん検診を受診したら給付金を支払う」というコンセプトを、どのように「保険」の枠組みで実施するのかを考える点に1番苦労し、具体的な検討期間としては2年間を費やしました。最終的には、「がん検診の受診」だけでなく、「検診結果が異常指摘なしであること」をお支払要件のひとつに設定しました。この「異常指摘なしであること」の定義について、公平性を保ちながら、いかにわかりやすいものにするのかが難しく、社内だけではなく社外の有識者等とも何度も議論を重ねました。
その結果、商品内容は、対象となるがん検診は、自治体で受診したもの、職場で受診したもの、自発的に受診したもののいずれでもよく、契約から2年ごとの対象期間内に受診し、その結果が「異常指摘なし」であれば、継続的ながん検診受診のためのサポートとして2万円を給付することとしました。がん検診受診の結果、がんと診断された場合は保険金を一時金でお支払いし、さらに、乳がんの場合のホルモン療法など、長期的な治療ための給付金も無制限で月5万円お支払いする内容としています。
そして最後に渡部理事長から1点だけ指摘させて頂きました。
年齢関係なく子宮頸がん、乳がん、どちらかの検診を受けると異常が無ければ給付される仕組みだが、一般的に20・30代の方が乳がん検診を受ける必要性は無いので、この年代の方は子宮頸がん検診を受診して給付金を受け取るよう推奨して下さい、とリクエストをしておいた。是非、一緒に20歳からの子宮頸がん検診、40歳からの乳がん検診を啓発していきましょうという話で終わった。
民間の力で子宮頸がん検診が後押しされ、将来的にはHPVワクチンを接種した人にもインセンティブがあるような保険商品が出てくるのでは?と感じた。科学的な根拠を元にリスクを計算する保険商品の誕生を予感させる今回の取材だった。